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時短ではなく高密度化!(高密度仕事術の3つの原則)


よく、時短を目指すと新聞紙上でも書かれていますが、

私はこの言葉に違和感を持っています。

時短は、極論仕事の量を減らし成果を低くすれば実現できるからです。

要するに、ただ早く帰るだけ!

しかし、企業が求めているのは、生産性を高めてさらに高い成果を出しつつ早く帰ることだと考えています。

私は、これを「高密度化」と提唱しています。

高密度化するには、タフな改善を継続的に行なう必要があります。

ただ単純に企業の人事部が「早く帰ろう活動」を言うだけではなく、

さらに制度面だけを朝型が得になるようにつくるだけではなく、

社員が自ら時間改革ができるように手段と仕組みを提供することが重要だと考えています。

さて、高密度化をするためには何が必要なのでしょうか?

今日は「高密度」3つの原則をご紹介したいと思います。

原則1.帰る時間は絶対に何があっても死守する

 マインドセットで絶対に必要なのは、この帰る時間を死守することです。

 ここに激しい緊張感を持って、絶対に根性で守るのがポイントです。このコミットメントが弱いと結局、だらだらと残業をして低生産性のままで終わってしまいます。

 様々な言い訳や事情があると思われますが、時間のキャパを制限するからこそ高密度仕事術が実現するのです。

 これは、荷物を減らすのと同じです。

 心配症の人が荷物を減らせないのは、かばんが大きいからです。その場合、どんなに取捨選択をしましょうと言っても、「いや万が一使うときがあるかも」「これは必要かもしれない」と結局あれもこれも詰め込んでしまいます。

 一番の対処策は取捨選択の基準をいくら強調しても感情面で「不安」がある限り簡単に手放せないのです。

 そこで最も即効性が高いのは、かばんを小さくすることです。

 入れられる荷物の量に制限があれば、減らさざるを得ません。この強制力が働くと不思議と取捨選択の基準が本人にも明確になります。

 手放す勇気が出るのです。制限を設けることで、不安という感情に任せて取捨選択をやめるという容易な手段に流れなくなります。

 これは時間の場合も全く同じことが言えます。

 どれも今やっておきたい気がする、どうしても人に任せられない、早く帰るのは難しいというのも「かばんの容量」が大きいから。仕事の場合は「働く時間」が容量に当たります。

 だから制限をかけて、それを絶対ルールにすること。

 ここから高密度化が始まります。

 この緊張感やコミットメントが弱い中で、時短テクニックを駆使してもあまり改善は見込めないというのが私がコンサルティングをしてきて得た実感です。

 最初の1週間は、仕事が終わらないまま帰らなければならない日が続きます。仕事のやり方が改善していないからです。でもそれでいいのです。

 高密度化は、今まで通りでは終わらないという事態から工夫が始まり、実現できるものです。

 仕事のスタイルを変えるのであれば、過渡期の苦しみを覚悟しておく必要があります。未完了感、切迫感、不安、自己嫌悪感と共に過ごす時期が必要なのです。

 未完了の仕事は翌朝早く出社して取り戻すというルールで乗り切ってください。

原則2.超集中できるエネルギーを充電する

 高密度仕事術では、単位時間あたりの集中力を高めて生産性を上げます。そのためには、充分なエネルギーがなければなりません。精神的・身体的エネルギーに満ちていると、びっくりするほど集中できます。

 一方、低集中・低密度の仕事術に慣れている人は、疲れていてエネルギーも低いものです。

 そこでエネルギーを高めるには、充分な休息を取ることです。

 まず充分な睡眠です。繰り返しになりますが、睡眠負債が溜まった状態で仕事をするのは、酩酊状態で仕事をするのと同じです。

 充分な睡眠が取れた状態で仕事をすると、圧倒的に集中力が違います。しかし、その集中力も持続性の問題があります。ですから、適度に90分に1回は休憩を挟むなど休憩を入れることが大切です。

 そして、何よりも長時間労働を避けることです。

 長時間やるより、単位時間あたりの生産性が高いことに誇りを持ち、価値を感じる自分をつくりましょう。

 だらだら仕事する時間を10分でもしたら、罪悪感を持つ。仕事が効率的に進んだら多少、未完了の仕事があってもオッケーとすることです。

 さらに家に帰って好きなことをやって、精神的に満足度を高めるようにしてください。そうすると次の日のエネルギーはとても高く、集中ができます。

 帰る時間を守り、充分なエネルギーが充電できると高密度化の環境がどんどん整っていきます。

原則3.完璧主義をやめ最善主義で考える

 最後は、完璧主義ではなく、最善主義で考えることです。

 完璧主義の人は、仕事を過剰品質で行なったり、相手が求めていないことに時間を使っていたりします。また、人に任せられない、自分でやらないと失敗するのではないかと不安が大きい結果、仕事を手放すことができません。

この完璧主義の対極にあるのが最善主義です。

 最善主義とは、「限られた時間で可能な限り最善の結果を出す思考」を意味しています。この最善主義の思考がなければ、帰る時間に制限を設けても限界がやってきます。

完璧は幻想であり、力の入れどころと抜きどころを明確にできる人が仕事で高い成果を出す人です。

 投入時間、納期、品質を考えて、限られた時間で何をどのような優先順位でどれだけの時間をかけてやっていくのかを考え続けます。

 最善主義を行なうためには、目的と相手の満足ラインをしっかり掴んでおく必要があります。そこがズレてしまうと仕事の成果として認めてもらえないからです。

 完璧主義は往々にして自分の理想の追求で、相手にとってそこまで必要なかったり、することが多いのです。

 会議の資料の体裁に時間をかけたり、メール返信1つ1つに時間がかかったり、電話で済ませれば5分で終わるところを報告書に纏めて30分かけたりするのは、明らかに過剰品質の仕事になります。

 この最善主義思考を駆使するためには、普通にそのタスクをこなしていけば時間が足りなくなるという状況に自分を追い込むことです。

 そうなれば、どこに力を入れるべきか、妥協して切り捨てるべきか人に任せるべきか、というところが見えてきます。 

 ご興味があれば、最善主義の詳しい方法は、拙著「力の抜きどころ」(ディスカヴァー)をご参照ください。


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