社員に仕事の価値を再定義させる
習慣化コンサルタントの古川です。
効率ではなく、効果を考えるときに一番はじめにすべきことは、
「価値ある仕事」を定義して、優先することです。
目先の仕事で忙殺されると、「緊急」なことばかりに目奪われて、
「本当に大切なこと」を後回しにしてしまいます。
消防署の例を考えてみましょう。
消防署の仕事で分かりやすい業務は、
火事が起きたら出動して「消火する活動」です。
では、消防署はずっと消火活動をしていればいいのでしょうか?
消防署にとって「成果を最大化する」ことは、早く火を消すことではなく、
火事が起きないようにする、起きたとしても出動しなくても消化器で鎮火できるようにすることです。
だから、消防署は「防火活動」に力を入れます。
火の用心のための街の活動の支援や小学校や施設に行って、
消化器の使い方を教えたりします。
消防署の仕事の成果を「早く火を消すこと」だと定義すると、消火のスピードを高めることだけに注力しますが、「火事の被害をなくすこと」と定義すると、防火活動という重要業務が見えてきます。
これは、私たちの仕事にも同じことが当てはまります。
ある百貨店に2年目研修をしたことがあります。
10名の2年目の社員のキャリアを見直す研修でしたが、
すでに職場で評価されている人と、鳴かず飛ばずの人がいます。
鳴かず飛ばずの人は、職場で重機の移動やレイアウト変更に追われて、売り場スタッフが言うように動かないことに不満を持っています。
上司からの評価は、「言われたことしかやらない。もっと自分から率先して動くように」というフィードバックが返ってきていました。
一方、職場で評価されている人は、自分の売り場のレイアウトをお客様目線で工夫して上司に提案したり、自分の売り場(紳士服のスーツ)以外の靴の知識など率先して勉強していたります。この差はどこから生まれるのでしょうか?
☆仕事の成果の定義が違う
自分の役割、仕事の成果に対する定義が違うのです。
低密度の人は、言われたこと、会社から課せられている目標を
達成することだけに焦点を当てます。
つまり、スーツだけが販売目標の数値ならば、
スーツのこと以外は覚えようとしません。
レイアウトの変更は販売への時間を奪う余計な仕事にしか見えないのです。
一方、高密度の人は、自分のあるべき姿から仕事の成果を考えます。
先ほどの例で言えば、「お客様が最高に輝くコーディネートの提案」を
本来の価値だと考えるならば、スーツ以外の知識も身につけようとします。
「お客様にとって新鮮な発見がある売り場をつくる」という
仕事の定義があれば、レイアウト変更に工夫が生まれます。
ある会社の受付は「スマイルクリエイター」と呼ばれています。
来訪者に笑顔と好印象を残すことが仕事の成果だと定義しているのです。
言われたことだけをする受付なら、
単なる受付事務と電話連絡の業務に始終します。
この根本的な定義の違いから成果は変わってきます。